「ゼロ年代の映画ベストテン」で2位になってましたねー。
これも予告編だけ劇場でみて、そのときはクリント・イーストウッドの名前に食指が動かずスルーだったのですが。わたし映画見る目ないな!
ということでやっと「グラン・トリノ」観ました。
レビュー:★★★★☆レビューの星について
三行あらすじ
妻を亡くし、子供や孫との間の溝からくる孤独、そして宝物のヴィンテージカー「72年製グラン・トリノ」だけが残された78歳のウォルト。周囲の人間との関わりを避け、余生を愛車と過ごしていた彼が、モン族の少年タオと知り合った。
かたくなな老人と気が弱いけど心やさしい車好きの少年との間に、いつしか絆が生まれる。
アメリカ文化がよく分かる映画。
様々な人種の人間がいて、それぞれギャングのように徒党をくんで闊歩している町。
人種差別的な言葉を平気で吐き、芝生を刈り、愛するアメ車を洗い、犬と一緒に軒先のロッキングチェアーでビールを飲む頑固オヤジ。貧しくて大学に行けない東洋系の移民。
シナリオの細部にスタッフのこだわりが見えるキャラクターメイキングですよね。
タオの姉・スーも作中で言っていたけど、古いタイプの「アメリカ人」の姿。
日本人からしてもそう思うのだから、アメリカ人からみた時のウォルトの頑固オヤジ度はどれだけのものだろう……。
しかしその本質は、ヴィンテージで手がかかるし燃費が悪いけど未だに渋くエンブレムを光らせる車:グラン・トリノそのもの。いくつもの時代を超えたものだけが知っている価値をもっているのです。
おまけにDVD特典ではスタッフやそれ以外の人物までがヴィンテージカーの良さを語る映像まで入っていて、本当にどれだけアメリカ人の男性はクルマが好きなのかと!
トヨタ勤務の方はこの映画をみたらどう思うんでしょうか。笑
ウォルトとタオがすこしずつ近づき、信頼を得ていくさまは見ていて本当に嬉しい。
この先なにも楽しいことなんてないよ、という趣だったじいさんが少年の世話を焼くんだよ!
ドキツい差別用語の挨拶を教えるシーンなんかも、タオの意外な順応ぶりが垣間みえてニマニマしちゃいます。
それだけに、終盤タオの家族がチンピラに襲われるシーン、そしてクライマックスへの流れは辛い。
観てるほうもウォルトに重ねてスーに思い入れがあるだけに、やりきれなさを感じます。
そこからはウォルトがどういう行動をするかある程度読めてしまうのですが、読めていながらのあのラストには泣きました。
結果はけっこう前から分かってたんだけど、ウォルトの行動はかっこいいんだけど、だけど。やっぱり悲しい。
そういう喪失の悲しみはあるのですが、クライマックスから物語の終焉まではとてもスムーズ。とてもきれい。
ウォルトが今以上に罪を犯すのでなく、大切な人々に危害を与えた奴らに償わせる方法。
練りこまれたシナリオだなあと思いました。高評価に納得です。
ただ、ウォルトの行動に感嘆し美しいと思いましたが、その後の流れには特に心動くことがありませんでした。
そういう漠然としたことなのですが、わたし的な星は四つで。
しかしウォルトの息子と孫たちが本当にイラつくこと!
ここまで無神経か?というレベル。偏屈ウォルトでなくてもブチ切れます。
といいながら、私も祖父母にたいして無神経になってるかもしれないしな……気をつけよう……、となぜか我が身を振り返ってしまいました。
あ、アメリカらしさを感じた点でもう一点。
チンピラたちが語尾に「なんとかなんとかメーン」ってつけまくってた。
すごい違和感感じるなーと思っていたら、作中でウォルトが突っ込んでくれたので嬉しかったです!笑
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